人気ブログランキング | 話題のタグを見る

旅の途中



分からない、を大事にする


つい先日ある方がTwitterで「肯定と否定の間に『分からない』、という淡々とした態度がある」ということをつぶやかれていて、なるほど、と思った。

というのも、少し前にある非営利団体に所属されている人とお話していた時から気になっていたことがあったのだ。古くて大きな団体で新しい事業を立ち上げられたその方は、まず部長に提案を持っていった。

部長「うーん、面白そうだけど俺よく分からないから理事長に相談してみよう」

理事長に企画書を持っていく。

理事長「うーん、新奇性があっていいけどイマイチ分からないから代表のとこ持っていっちゃおう」

マジ?!という感じで戸惑いつつも団体のトップにまで話が行ったところ代表の方すごく気に入っちゃう。新奇事業実現。

という話。聞きながら、自分で判断を下そうとしない、典型的な日本的意思決定ね・・・という想いと、「分からん」と素直に言えちゃう潔さ、すごいかも、そして部下としてはそういう人有難いかも、とも思った。人間どうしても理解できない⇒否定。となりがちだから。

そして最初にあげたつぶやきを発見。否定と肯定の間に有る「分からない」という淡々とした態度。それは決して悪いことではない。もちろん最終的には決断をしなきゃいけないことばかりだけど、分からないと認めることは分かった気にならないということでもある。分からないと認めることで勉強したり、相談したり、考えたりしてそのトピックと向き合い続けることになる。この淡々とした営み、実はすごく大事なのではないかと思ったのです。

たまに、迷いなく生きている(ように見える)人が羨ましくなる。これが正しい、とはっきり軸を持っている人。自分のやっていることは天職だ、と胸をはって言える人。そういう人の言葉には力が有り、人を説得するオーラがある。自分はいつも何が正しいのか迷ってばかりいるのでそういう人がすごく羨ましい。

でも、分からない、ということに焦りを感じなくてもいいのかもしれない、と思った。むしろ、「分からない」という感覚を大事にしていこうとも思う。白黒はっきりしなきゃいけないことも多いけれど、自分が向かっている大きな「?」についてはそんなに焦って答えを出さなくていいのだ。白にも見えれば黒にも見えるし・・・・もう分からん!という混乱した気持ちを淡々と受け止めて行こうと思う。そして考え続けようと思う。

迷いなく生きている(ように見える)人も、実はいつもこういう不安感と戦っているのかもしれない、と思ったのは、アキュメンファンドのジャクリーンさんからメールをもらった時だ。BOP向けの水ビジネスはただでさえ何もしない政府をますます「やんなくていいや」と思わせてしまうのではないか?という少々批判的な問題提起に対して、真っ先に返信をくれたのがなんと代表のジャクリーンさんだった。アキュメンとして考え続けなきゃいけない問題だと思ってます、みんな意見出して!と。白でも黒でもなくて、みんなで考えて行きたい、という答え。

公の場ではかなりポジティブで、まっすぐで、キラキラで、ソーシャルビジネスのカリスマ!みたいなキャラだけど、ああ、実はすごく色んなことを迷ったり自問しながらトップをやっているのだろうな、とその時になんとなく感じた。そしてそのスペースを保ちながら行動をし続けていること、すごいことだと思った。

「分からない」と思ったまま行動出来なくなってはいけないけれど、分かった気になるよりは、分からないことと対峙し続けていくべきなのだろうと思う。
by nanacorico0706 | 2010-11-08 07:37 | つれづれ
<< 原丈人『新しい資本主義』 物乞いの人にお金をあげますか? >>


2年間の米国留学生活をゆるゆると綴ります・・・

by nanacorico0706