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旅の途中



広告の終焉から始まるもの

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ここ最近で最も刺激を受けたのがクリエイターのレイ・イナモトがFast Companyに掲載したカンヌ広告祭の振り返り記事。
『広告の終焉』

仕事でにわかにプロモーション強化のプロジェクトが立ちあがって今まで全く縁の無かった広告のキーワードが引っかかっていたころに発見。
ワクワクするようなインサイトに溢れていた。

「New Worldでは、ブランドがオーディエンスとつながっているか、そしてオーディエンス同士のなかにつながりをつくれるかが重要になる。」

「ブランドの物語」ではなく「人々の物語」

「広告の世界では、長きにわたって、消費者に対して包括的に「360°」でメッセージを発信していく考え方が奨励されてきた。しかし新しいメディアが増え、消費者の行動もメディア接触も細分化されたいまとなっては、消費者を全方位から囲い込むというのは不可能であり、無駄が多過ぎる。アイデアのスケールが、媒体露出によって測られる時代は終わった。新時代における基準とは、永続性、志(こころざし)、そして社会に与えるインパクトである。」

「クリエイティヴィティとイノヴェイションとは、明らかな問題に「思いもよらない解決策」を見つけるか、または「思いもよらない問題」を見つけて明らかな解決策を提示することである。 クリエイティビヴィティは、よりよいビジネスアイデアやソリューションを見出すために使われるべきであって、いたずらに消費者のアテンションを引くために使うものではない。」

「キャンペーンもプロダクトも、人々が時間を割く価値がないものであれば、文字通り世界を汚染してしまう。近い将来、ポスト・デジタルの全モバイル時代が訪れたとき、360°インテグレーテッドキャンペーンと称したブランドストーリーをあらゆるメディアで展開しても、もはや何の効果もない。ブランドは、365日のコネクションを通じて、消費者が抱える本当の問題を解決し、自社ブランドのみならず人々や社会に貢献できるようなビジネスの開発を目指すべきである。」

広告やプロモーションと言うのは情報の受け手にある行動を起こしてもらう為にするもの。
購買であれ、寄付であれ。
だけどどうやら一方通行で行動を喚起するようなメッセージを発してももはやダメなのだ。

1.露出するだけのコミュニケーションではなく「繋がり」を感じさせること。
消費者同士、支援者同士を繋ぎコミュニティ化していくこと。
人々は今、想いを同じくする誰かと繋がること自体に価値を見出しているはず。
ブランドはその為の場を提供することが出来る。

例えば自宅で仲間とエクササイズ出来るNike キネクトは「繋がる」を軸にビジネスモデルそのものにイノベーション起こしている好例。
単なるスポーツメーカーの領域を超えて私たちの生活様式を変え、スポーツする人同士の新しいコミュニケーションのを生みだしている。


2.発信するメッセージ自体に価値があること
これだけ膨大な情報が溢れている社会では自分本位なPRは見向きもされない。
本当に価値が有り、人をhappyにしたりエンパワーするコンテンツでなければ。

Redbullの成層圏ダイブの映像が呼ぶような感動や、タイの禁煙を促す映像がもたらすドキッとするような気付き。


3.大きなコーズに取組むこと
広告が自分本位に購買を促すものではなく、もっと大きなコーズへのコミットを語る必要がある。

例えばユニリーバのReal Beauty Sketch
Doveの宣伝文句はなし、美しさって何だ?という美容品メーカーが向き合う普遍的な問いかけにフォーカスして感動を呼ぶ動画。

例えばアキュメンファンドのGenerosity Day
アキュメンのChief Innovation Officerがバレンタインデーを人に寛容になる一日”generosity day”と勝手に認定。
頼まれたこと全てにYes!と言うとかチップをはずんでみるとかチャリティに寄付をしてみるとか、個人で賛同した人の輪が大きくなって毎年twitterが盛り上がっている。
アキュメンの宣伝をしたわけでは全くない。
generosity=寛容さというアキュメンがコミットする大きなコーズを全面に出したことでむしろアキュメンのブランディングに貢献している。実際寄付も増えたとか。
自分たちの団体が成長すればいいのではない。
その先にあるもっと大きなビジョンに意味がある、という本質があるからこそ多くの人の共感を呼ぶということ。

広告の終焉。企業だけが危機感を持つ問題ではないはず。
人に伝え行動を起こしてもらうことの重要性という意味では非営利の組織も例外ではないのだ。
しかもレイ・イナモトが指摘している新しいベクトルはどれも非営利セクターに有利。
多くの人が繋がりを求め、価値ある情報を欲し、大きなコーズに共感する今こそ、NonProfitにとってのチャンスなのだ。
この業界はクリエイティブの力を軽視し過ぎているし、まだまだ勉強不足だと思う。
良いケースから盗みに盗んで色んな実験を仕掛けていきたい。
by nanacorico0706 | 2013-10-06 15:56 | おしごと
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2年間の米国留学生活をゆるゆると綴ります・・・

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