旅の途中



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コミュニティベースの社会投資ファンドを作れないか、と妄想している。

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コミュニティベースの社会投資ファンドを作れないか、と妄想している。今のインパクトインべスティングは基本的に先進国でファンドを作ってお金を調達して、世界中の社会企業に投資して、投資資金+利益が先進国のファンドに戻ってくる、という形。この先進国→途上国⇒先進国のお金の流れをローカルでグルグル回る、に出来ないか、というのが妄想。

アキュメンでインターンをしてたとき腑に落ちなかったのが投資資金はともかく、そこそこ高いリターンもニューヨーク本部へ戻っていくことだった。5年間で投資IRR18%前後、という投資があって、まあパキスタンというカントリーリスクとベンチャーってことを考慮すれば決して高くないけど、決して低くもないぞ、という印象。これだけの利益がごっそりアメリカに戻っていく。

何が腑に落ちなかったというと。

1.利益率高くするほど消費者価格が高くなりがち。住宅事業においては明らかに相関性があった。事業計画の時点でIRR○%、と織り込むわけなので、この利益率を達成できるような価格設定、コスト調整が課される。普通のマーケットで戦っている住宅事業者だったら当たり前に住宅の市場価格との兼ね合いでキャッシュフローを作っていくわけだが、BOPビジネスはそもそもマーケット価格、なんてものはない。安価に出来れば出来るほど貧しい人に届く。どこまで価格を下げるかは事業者の気合いとコミットメントだ。だからこそ、IRRゼロだったらもっともっと安くできて、もっともっと貧しい人にもリーチできるのに・・・と歯がゆい思い。

そもそもなぜアキュメンが「そこそこ」の利益率を投資先に求めるのか。ベースラインとしてあるのは、投資先の社会企業にゆくゆくは「Patient Capital」ではなく、従来の投資家に投資してもらえるようになってほしい、という方針。アキュメンの出すお金はスタートアップの支援段階のみを前提としていて、事業が軌道に乗ったらマーケットレベルの利益率を求めてくる投資家からお金を調達する、というのが理想型なのだ。となるとマーケットからあまりにも乖離した利益率では投資出来ない。願わくばマーケットレベルと同等の利益率で投資して、通常の投資家の呼び水としたい、という想いもある。結果、出来る限り高めの利益率を設定しようというインセンティブも働く。

2.現地でお金が循環しない。立ち上げたばかりの社会企業が一生懸命創り出した利益をもし自国内で、もしくは地元の経済に還してあげることができたら、もっと経済効果出るんじゃないか、と思った。社会投資なのだからもちろんアキュメンに返った利益はどこかで違う社会企業の為に使われる、それは素晴らしい。ただ、お金の流れだけ見ると多国籍企業の対外投資とあまり変わらなくて、投資先のローカルな経済へのインパクトが限られている。



もし、一定の大きさのコミュニティ内で社会企業に投資するファンドを作って、出資先企業は毎年税後利益の最低半分をファンドにプールすることにしたらどうだろうか?参加企業は、新規投資のニーズがあればファンド内で決めた低い利率でファンドからお金を借りることができる。インフラ整備や人材育成のような参加企業全体の利益になるプロジェクトにも資金拠出出来るようにすれば投資の効率も上がる。もちろん、最初の最初は外部からの立ち上げ資金援助が必要だろうけど一度循環し始めれば追加で外部資金の投入は要らなくなる。マーケットレベルの利益率を求める投資家におカネを返す必要が無いのでその分商品やサービスの価格を抑えられる。投資資金も生み出された利益も地元の経済に循環していく。

根源的には、先進国主導で社会投資のフレームワーク作りが進んでいる現状に違和感たっぷり、なのだ。ごく一部のImpact Investors達が投資指標を開発したり、ファンドスキームを考えたり、投資先を選んだり。重要なステークホルダーであるはずのおカネの受け手である社会企業、末端の受益者である途上国のコミュニティは一切議論に参加出来ない。寄付ではなく投資を、なんて聞こえはいいが結局先進国のおカネへの依存という意味では両者大差無いのではないか。現地の人が立ち上げて現地の人がルールを決めて、現地の人が運用する社会投資ファンド、出来ないだろうか?
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by nanacorico0706 | 2010-12-22 13:48 | つれづれ

ボーゲル会とマーケットと私


今年からボストンで毎月開かれているボーゲル会という勉強会に出席している。Japan as No1というアメリカを追い越す勢いだった日本を書いたベストセラーで知られるハーバードの社会学の教授、ボーゲル先生を囲んでボストン留学中の学生が将来の日本について語る、という伝統ある勉強会。学生、といっても大手の企業から派遣されているビジネスマンや省庁から派遣されている若手の国家公務員が多く、同年代から少し上のある程度社会経験を積まれた方々。昨日参加した会で個人的に「マーケット」の機能について考えさせられたので振り返りを書こうと思う。

テーマはエネルギー安全保障。資源を持たない国日本が如何にエネルギーを安定的に調達してくるか。大枠ではオイルショック以来石油依存度を減らしていく、というのが政府の方針で、石炭や原子力、リニューアブルエナジーなど色々試みられてきた数十年。とはいえ石油は今でも4割程度のエネルギー源で今後も輸入を続けることは避けられない。一方で、中国やインドの成長によって原油の需要は高まる一方、原油価格はあと25年の間に倍になると推定されている。さあ大変!どうする日本!というのがざっくりした文脈。

提案をしてみた。オイルって人類共通の生命線みたいなもので、同じようなエネルギー安全保障の問題に世界各国が直面しているんだったら思い切ってマーケットで価格管理するのはやめて国際的に安定供給をする仕組を作ったらいいんじゃないでしょうか?

ま、多少ぶっとんだ考え方だし「そうですね!」なんて答えを期待してたわけではない。そもそも発言し始めた時点で会場に広がる苦笑。

が、ちょっとびっくりしたのはゲスト参加されていた日本を代表する経済学者の先生に言われたこと。「そういうマーケットの機能を疑問視するような発言は非常に危険ですね。戦時の統制経済みたいになってしまう。きちんと経済学を勉強していないとこういうことになる」といったような趣旨。別にマーケットの機能を全面否定していたわけではなく、原油のような公共性の高い財は完全に市場を自由化するのは宜しくないのでは、と言いたかったのだが、「危険」という強い表現で諭されたことに少し面食らった。フリーマーケットへの警鐘は特に金融危機以来アメリカの経済学者からも聞かれるし、マーケットは万能ではない、という考え方は主流とは言わないまでも特に驚かれることもないと思っていたが違うらしい。

重ねて他の方からも諭される。「必要としている人のところに最適にモノを配分するのがマーケットの機能ですからね。それを無視しちゃいけませんね」と。重要と供給を通じた価格メカニズムによって市場が自然に財の適切な配分をしてくれる、というのが経済学の基本。だけど、「必要としている人のところにモノを配分」するというはちょっと語弊がある。マーケットが本当に「必要としている人のところにモノを適切に届けてくれる」のなら、最もエネルギーを必要としている貧しい国々にどうして届いてないのか。答えは簡単で、彼らは買うお金がないからだ。マーケットは必要としている人にモノを配分するのではない。必要としていて且つ「買う力が有る」ひとのところに配分するだけだ。「ニーズ」と「需要」は違う。どれだけ途上国にneeds とwantsがあろうとも、オイルの世界市場に参加出来るだけの購買力が無い国が多いのだ。彼らの「ニーズ」はずっと「需要」にカウントしてもらえない。

先ほどの経済学の先生は悪気なくこの事実を認めた。「確かにマーケットはお金の入ったポケットの方に動きますからね、お金持ちが得をして貧しい人が苦しむ、ということはある。だけどマーケットを否定しちゃいかん。それは危険な考えです」と。

ああ、こんなにも堂々と貧困が是認されるのか。ナイーブかもしれません。でもちょっとショックだったなー。メインストリームの経済学者だったら、こういった考えはきっと特別じゃないんだろうな。マーケットに参加出来ない貧しい人は国が福祉で面倒見るんです、という正当化もあるだろう。じゃ、高騰するオイルマーケットに参加できない最貧困国はどうすればいいのだろう。世銀が?国連が?そういった機関が戦後60年介入し続けて何も変わっていないのが今の途上国の現状だ。

修論の担当教授がこの大学はリベラルの天国みたいなところだ、と言っていた意味が分かる気がする。大学を一歩出れば全く違う世界観を持っている人が溢れているのだ。当たり前ですね。

でも無力感を感じてはいけない。自分の考え方を意固地になって守る必要はないけれど、スタンスを持つということは大事。そして、倫理的なコミットメントは無くしちゃいけない。経済はお金持ちをお金持ちにするだけのシステムではいけないのだ。もっと勉強しよう。もっと行動もしよう。おかしい、と思うものとまっすぐに向き合っていく、ちゃんと戦っていく。
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by nanacorico0706 | 2010-12-01 12:21 | つれづれ


2年間の米国留学生活をゆるゆると綴ります・・・
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